25時のため息
2018/ 08/ 16誰に言われたのでもなく、
誘われたのでもない、
少年は一人、旅に出る。
夏休み、知らない地方への一人旅、
泊まるあてなど、ない。
その気なら駅でも、地下の通路にでも
野宿さえ厭わない。
ある地方の、小さい町にたどり着く。
太陽は高く、暑い日々が続く。
澄んだ川の流れ、透明な空、
生まれ変わったような気がする。
昼、川べりの小さな喫茶店で寛いでいると、
同じ音楽がずっと流れている。
その地方で育った歌手の、宣伝車が
狭い町中をぐるぐる回っているようだ。
都会ほどけばけばしくない音楽だが、
聞き入って入ると、
なかなかいい。
喫茶店での主人がやってきて、
あれ、俺が作ったんだ、と。
自分でも気に入っている、と。
見知らぬ少年に、語り始める。
都会での荒んだ生活は、
わずか数年で、田舎に戻る決意をさせたと。
列車に乗り、更に北へ向かう夜行電車で、
昼に聞いた、曲をつぶやいていた。
都会に戻った少年は、
もう還暦を迎える。
今夜、25時、ふとため息ひとつ、
あの時たどり着いた田舎の無人の駅に、
また行ってみよう。
誘われたのでもない、
少年は一人、旅に出る。
夏休み、知らない地方への一人旅、
泊まるあてなど、ない。
その気なら駅でも、地下の通路にでも
野宿さえ厭わない。
ある地方の、小さい町にたどり着く。
太陽は高く、暑い日々が続く。
澄んだ川の流れ、透明な空、
生まれ変わったような気がする。
昼、川べりの小さな喫茶店で寛いでいると、
同じ音楽がずっと流れている。
その地方で育った歌手の、宣伝車が
狭い町中をぐるぐる回っているようだ。
都会ほどけばけばしくない音楽だが、
聞き入って入ると、
なかなかいい。
喫茶店での主人がやってきて、
あれ、俺が作ったんだ、と。
自分でも気に入っている、と。
見知らぬ少年に、語り始める。
都会での荒んだ生活は、
わずか数年で、田舎に戻る決意をさせたと。
列車に乗り、更に北へ向かう夜行電車で、
昼に聞いた、曲をつぶやいていた。
都会に戻った少年は、
もう還暦を迎える。
今夜、25時、ふとため息ひとつ、
あの時たどり着いた田舎の無人の駅に、
また行ってみよう。
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